注文住宅において、もっとも「1cmの差」が生活の質を左右する場所。それはリビングでも寝室でもなく、間違いなく「ランドリールーム」です。 共働き世帯にとって、洗濯は毎日避けては通れない、そしてもっとも時間を奪われる家事の一つ。我が家の2.5畳というコンパクトなランドリーには、既製品を組み合わせたとは思えないほど美しい「シンデレラフィット」の収納システムが鎮座しています。
今回は、自作間取りの段階から1cm単位でシミュレーションを重ねた、我が家自慢の造作カウンター下収納術を徹底解説します。
💡 初めての方へ
そもそも「マイほの。」ってどんな家?
東北に建てた43坪・注文住宅の全データと、私が失敗談を晒してまでブログを書く理由は?
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■ 1. 「85cm・135cm・121cm」に隠された緻密な計算
我が家のランドリー(2.5畳)の主役は、壁一面に設置した幅135cm×奥行70cmの造作カウンターです。このサイズ設定には、実は深い理由があります。
① 腰への負担をゼロにする「高さ85cm」
キッチンの高さ選びでもよく議論される「高さ」ですが、ランドリーカウンターにおいても重要です。洗濯物を畳む、アイロンをかける、あるいは染み抜きなどの立ち作業を行う際、一般的な机の高さ(70cm程度)では低すぎて腰を痛めてしまいます。 我が家は、キッチンの標準的な高さに合わせた「85cm」を採用。これにより、長時間作業しても疲れにくい、快適なワークスペースを確保しました。
② 作業効率を最大化する「奥行70cm」
一般的なカウンターは奥行45cm〜60cmが多いですが、あえて「70cm」という深めの設計にしました。この10cm、20cmの余裕が、作業効率を劇的に変えます。 手前で洗濯物を畳みつつ、奥には畳み終わった服を家族ごとに並べておける。あるいは、アイロン待ちの服を奥に寄せておける。この「一時置きのゆとり」こそが、狭いランドリーを広く使うための知恵です。
③ 運命の「内寸121cm」
そして、今回の主役であるカウンター下の空きスペース。両端の支持壁を除いた有効内寸は「121cm」です。この数字は、偶然生まれたものではありません。あらかじめ「あの収納ケースを入れる」と決めて逆算した、勝利への伏線でした。
■ 2. デコニー×スリムラック。既製品が「造作」を超える瞬間
「121cm」という空間をどう埋めるか。多くの人はここで高価な造作家具を検討しますが、我が家が選んだのは、ニトリなどで手軽に購入できる**「チェスト・デコニー(ワイドタイプ)」と「12cm幅のスリムラック」**の組み合わせでした。


驚異のシンデレラフィット
- デコニー・ワイドタイプ(幅54cm)× 2台 = 108cm
- スリムラック(幅12cm)× 1台 = 12cm
- 合計 = 120cm
有効内寸121cmに対し、収納の合計幅は120cm。左右にわずか0.5cmずつの「逃げ」があるだけの、まさに神がかったフィット感です。 「既製品だと隙間ができて埃が溜まる」という悩みは、設計段階で「入れるもの」を確定させておくことで、完全に解消できるのです。
■ 3. 「誰が・何を」どこに仕舞うか。54cm×2の役割分担
この合計120cmの収納群は、ただ収まっているだけではありません。家族の動線を整理するための「司令塔」としての役割を担っています。
左側のデコニー:5歳娘の自立を育む場所
左側のワイドデコニー(54cm)は、5歳の娘専用のクローゼットです。 一番下の引き出しには下着や靴下、中段には普段着……というように、子供の目線と手の届きやすさに合わせて配置。 「自分の服は自分で選んで、自分で仕舞う」。この習慣が、ランドリーという家事の現場で自然に育まれています。
右側のデコニー:家族の「最短」を支える場所
右側のワイドデコニー(54cm)には、父・母・11歳の兄の下着・インナー類、そして家族全員分のタオルを収納しています。 我が家にはボッシュの食洗機だけでなく、ランドリーには強力な除湿機とハンガーパイプがあります。乾いたタオルをその場で畳み、一歩も動かずに真下の引き出しへ。この「歩数ゼロ」の片付けこそが、名もなき家事を最小化する秘訣です。
12cmのスリムラック:隙間が生んだ機能美
余った12cmに差し込んだスリムラック。ここは「洗濯備品」の聖域です。 ハンガー、ピンチ、洗濯ネット、洗剤のストック。これらのかさばる小物を、オープンな棚に置くのではなく、隙間ラックに隠して収納することで、ランドリー全体のノイズが消え、スッキリとした空間を保つことができています。
■ 4. 2.5畳に詰め込んだ「衣類サイクル」の理想と、拭えない後悔
このランドリーを設計する際、私は「洗う・干す・畳む・仕舞う」という衣類のライフサイクルを、この2.5畳で完結させることを理想に掲げました。5歳娘の衣類をデコニーに集約させたのは、その成功例のひとつです。
しかし、ここで正直に告白しなければならない「後悔」があります。
それは、ファミリークローゼット(ファミクロ)を1階に作れなかったことです。
- 「仕舞う」動線の分断:娘の服はこの場で完結しますが、私と妻、そして11歳の兄の衣類は、畳んだ後に2階の各居室まで運ばなければなりません。
- 階段の上り下りという現実:1階完結の間取りを追求した我が家において、この「衣類を持って階段を上がる」という動作だけが、どうしても解消できなかった唯一の家事動線のトゲとして残りました。
「なぜファミクロを断念したのか」「その結果、日々の生活にどんな影響が出ているのか」。このあたりの苦い教訓については、後の**『後悔ポイントランキング』**で詳しくお話ししたいと思います。
■ 5. なぜ「造作家具」にこだわらなかったのか?
家づくりをしていると、どうしても「全てを造作で揃えて格好良くしたい」という誘惑に駆られます。しかし、私はあえて既製品(デコニー)を中心とした構成を選びました。
理由は3つあります。
- コストパフォーマンス:造作家具でこれだけの引き出しを作れば数十万円かかりますが、デコニーなら数千円です。
- 可変性:子供が成長し、数年後に収納スタイルを変えたくなったとき、既製品なら簡単に買い替えや配置換えが可能です。
- 清潔感の維持:プラスチック製のデコニーは水気に強く、汚れても丸洗いができます。湿気が溜まりやすいランドリーにおいて、これは大きなメリットです。
「設計(内寸)」をガチガチに固める一方で、「中身(収納用品)」には柔軟性を持たせる。これが、自作間取りを成功させるための「賢い引き算」だと考えています。
■ 結びに:1cmの隙間に込めた「家族への愛」
121cmの幅に120cmの収納を収める。 これは単なる自己満足や数字遊びではありません。 家事に追われる時間を1分でも短くし、その分、家族とリビングで笑い合える時間を増やすための、切実な「設計図」の結果です。
高い造作家具を詰め込まなくても、正確なサイズ把握と、家族の動きを想像する力があれば、理想のランドリーは作れます。 毎日使う場所だからこそ、この1cmの隙間にまでこだわった価値があったと、私は洗濯カゴを抱えるたびに、静かな達成感を感じています。
【次回の記事予告】 ランドリーを抜けると、そこには家族の「リラックス」と「隠し場」が。 「【和室編】3.7帖のユーティリティプレーヤー。洗濯カバーから押し入れの『隠し場』としての実力。」

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